鉄欠乏性貧血があるとHbA1cの値は上昇する

HbA1cはグリコヘモグロビンの量のことで、赤血球内のヘモグロビンと血液中のブドウ糖が結合して作られます。血中に余分なブドウ糖があるとグリコヘモグロビンはたくさん作られてしまうため、その値が上昇します。

一度作られたグリコヘモグロビンは赤血球が死んでしまうことで血液中からなくなります。なので、HbA1cの値は、赤血球の寿命に依存するということです。一般的に赤血球の寿命は120日くらいなので、過去120日くらいの血糖値の推移を示すということになります。

鉄欠乏性貧血の人では、赤血球の中のヘモグロビンがうまく作れなくなります。そのため、身体の中では赤血球の寿命自体をのばすことによって必要なヘモグロビンをなんとか維持しようとします。これを代償性と言います。

鉄欠乏性貧血の人では代償的にこのような事が起きているために、一度できたグリコヘモグロビンは120日ではなくなりません。そのため、血中ではグリコヘモグロビンがどんどん増えっぱなしになってしまいます。

このような貧血の場合では、本当は血糖値は高くないのにHbA1cが高くなるため、注意が必要です。
鉄欠乏性貧血は、ヘモグロビンの値が少ないのに比べ、赤血球の数は正常値になることがあるので見過ごされてしまう事もあるのでこれも注意が必要です。

つまり、糖尿病かもしれないと思われた人が実は貧血だったという結果になるということもあるわけです。それを防ぐためにも、血糖値を測ることは大事な検査です。貧血の人によるHbA1c上昇では、食後2時間の血糖値の上昇はないため、糖尿病という確定診断は下りません。

HbA1cが高いにも関わらず血糖値は正常な場合は、他の疾患が考えられるため、更に検査をすることになります。鉄欠乏性貧血の人では、ヘモグロビン値とヘマトクリット値が下がるためにその検査をすることによって確定されます。赤血球は正常値の場合もありますが、ヘモグロビンが少ないために通常よりも小さくなっています。